海の時間 [後記]

お疲れさまです。如何でしたでしょうか。
遼伸です。誰が何と言っても遼伸です。私にとっての精一杯の遼伸です(爆笑)。
とかいいながら、当麻ファンの方々にはかなりご心配をおかけしました。
伸は遼になびくのか!?とか、旦那が留守番してる間に奥さん大変な事になってるとか。(←奥さんってそれ・・・)
まあ、色々。
結果。こうなってしまいました。(というか結局何も変わってはおりません)

なんというか、伸は今の関係のままでいたいんですね。きっと。これ以上何も変わって欲しくない。
伸にとってはどちらを選ぶとかそう言う問題ではないのに、なんだかそういう方向へいってしまいそうな感じがとても怖い。
同じ事の繰り返しを行っているのかもしれませんが、私は、そんなに早く皆に大人になって欲しくはないんで、もう少し同じ場所で足踏みしてて欲しいなあと。
自分自身がピーターパンシンドロームな所為もあるのでしょうが(^^ゞ

伸にとっては当麻も遼も、もちろん秀や征士も同じくらい大好きな存在なんです。
だから当麻の気持ちに答えたからと言って遼を裏切りたくはない。
考えようによっては、かなり八方美人で我が儘な優柔不断野郎なのですが、本当なのだから仕方ない。
伸が前作で当麻を選んだにも関わらず遼にもいい顔をするなんて、伸って嫌な奴だぁって思う方もいらっしゃるでしょう。
でも、遼が一番大事だと言った伸の言葉は真実なんです。
だから、本当にどうしようもない。

「リトルバード」で当麻が言っていたように、当麻と遼がそれぞれ別の場所で伸に助けを求めてたら、きっと伸は遼を先に助けに行くでしょう。
これは今も変わりません。きっと一生変わらない。
でもだからといって伸の中で当麻より遼が上というわけではない。
また、逆に伸がボロボロになったとき、そばにきて欲しいと心の中で願ってしまう相手は遼ではなく当麻。
伸が無意識のうちに心で呼ぶのは当麻。
だからってそれが完全に当麻を選んだからっていうことにはならない。

人の心の奥っていうのは複雑で難しくっていまだにわかりません。
私だって自分自身の気持ちがわからなくなる時が多々あります。

伸は遼に恋はしてません。だから遼に対してごめんねと言ってしまう。
でも伸にとって遼が誰よりも大切な存在であることは本当の事なんです。
遼に逢いたかったから、伸は新宿へ向かいました。
遼を守りたかったから、戦いへ身を投じました。
烈火との約束も大きな位置を占めてはいますが、きっとそれがなくても伸は遼の事をとても大事に思ったんじゃないかなって。

あえて言うなら伸の遼への気持ちは親兄弟が子供や弟に抱く愛情。
当麻への気持ちは、恋(っつーと恥ずかしい)。
どちらも違う形ではありますが、想いの重さは同じ。
だから、どちらかを選ぶという図式は当てはまらない。
っつーか男同士で選ぶも選ばないもないよっっ。結婚するわけじゃなし(爆笑)。

で、今回の当伸的キーワードは「海に降る星」。
伸がさりげなく洩らしてしまったこの言葉に何故遼は反応したのか。
解らなかった方は「宇宙と海の狭間」を読み返してみてくださいませ。(宣伝♪)
以前、このエピソードを書いた時、この言葉は自分的には重要なキーワードだったんですが、読みようによってはかなりさらっと通り過ぎてもおかしくない書き方を私はしました。
なのに何故かこれを気に入ってくださった方は多く、「ああ、やっぱりこういうのはちゃんと伝わるんだなあ」って、その時、思いました。
そして今回も。
覚えてなければさーっと通り過ぎるだろうこの言葉。
きちんと理解してくださった方がちゃーんといらっしゃいました。(しかも何人も\(◎o◎)/!)
書き手としては感動ものです。
ああ、本当にちゃんと読んでくださっているんだぁぁぁぁって。

意地悪な言い方をすれば、私はいろんな部分で今回みたいに「わかる人だけわかってくれぃっ」っていう感じにさりげなく昔のエピソードを混ぜて話を書いたりします。また、逆に、一見不可解な行動(それを読んだ時点では、どうして彼がそういう行動をとったのか解らないっていうような行動)をさせてみたりします。
そして、ずーっと後になって突然、ああ、あの時の行動はそういう意味があったんだって解る。
以前友人に貸してもらった小説にこの手法が多々使われていました。
それぞれ独立したいくつかの話(タイトルも主人公もみんな違う)のですが、長い時間の中で、それがすべて繋がっている世界となっており、こっちの話のエピソードとしてさりげなく誰かがつぶやいた一言が、他の話でとても重要なエピソードになってて、両方読んで初めて「ああ、あの時のあの台詞はこういうことだったんだ」って気付く。
そうすると、再度そのもう一つの話を読み返したくなる。
読み返すと、(謎がすべてとけているので)前回と違った印象を持ち、もう一回楽しめる。

私の作品の中でも、たまに「これを読んで○○を読み返したくなりました」とか「これを読んだ後○○を読んだら、よけいに彼の本当の心理が解り、さらに奥深く物語を読めるようになりました」とか、そういった言葉をいただくことがあります。
私はそれはとても素晴らしいことだと思ってます。
だから、私はひとつの作品の中でこれでもかっていうほど色々な事を説明する必要はないんじゃないかって思うんです。
だって解ってくださる方は本当にちゃんと解ってくださるんですから。
重いテーマの話だって、この話のテーマは重いんだから、それをしっかり伝えなきゃなんて事だけを考えて書いてたら楽しめる部分がなくなってしまう。
さりげなく(本当にさりげなく)いれた些細な言葉や仕草、視線、行動。そんなものでも伝わる人には伝わる。
きちんと言葉にされなくても、なんとなく感じる。
そんな感じでいいんじゃないかって思います。
初期の作品群は、そこまで考えていなかった分、逆に色々な意味でストレート過ぎて私的にはちょっと気恥ずかしい部分がありますね(最近はさりげなさ加減に磨きがかかったのかなあ?)
どちらを好むかは個人の趣味、趣向の問題です。

もちろん、それじゃ読み手に対して失礼だし、自分の力量のなさを弁護しているだけだって思われる方もいらっしゃると思います。
だから、それを補うために、私はこうやって後記で解説のような補足のような事をしています。
さすがに1人解っても残りの99人が解らないのはちょっとまずいかなあなんて。
ですから、後記を読んで、ああそういうことだったんだって思ってくださって私は構いません。むしろ思って欲しくてこういった後記を書いてます。
この後記は純粋に私の意見や考え方、役の解釈を述べているページですので、本来ならキャラクター設定資料集にでも載せればいいような裏設定をこの場を借りて暴露しているということです。
そして、この裏設定をふまえた上で、お時間のある時、再度本編を読み返していただけたらいいなあ、なんて。

ただ、何と言っても、私の小説はエンターテイメントです。
心ゆくまで楽しんでください。
読んで楽しんでいただければ、それだけで何も言うことはありません。
私は、自分の思想を押しつけるために彼等を描いているわけではありませんので。

そして、今回。
青春時代のほろ苦い恋物語。(←誰かまともな恋をする奴はいないのかっっこいつら)
少しは楽しんで頂けましたでしょうか。

永い永い時の流れの果てに。
この「恋」、実るといいね。

FARADON 記   

 

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