遥かなる場所−出逢い−［後記］

お疲れさまです。如何でしたでしょうか。
勢いに任せて書いてしまった、番外編です。
この２人の話は、名前を決めた時、一緒に頭の中に浮かんできた話です。
烈火や水凪、天城、雫、斎、鋼玉などの名前は、かなり前から決まっていたにも関わらず、なかなか決まらなかったのが、夜光（あだ名のコウだけ先に決まってました）と、柳（人物イメージはかなり早かったのに名前がなかなか……）そして最後まで決まらなかったのが、この禅と紅です。
なのに、最初の番外編が彼らというのも不思議な感じです。まあ、他の人達は、番外じゃなくても随分本編に出刃ってきてますから、同じ事か……

紅の過去に関しては、まだまだ考えなきゃいけないのですが、かなり悲惨な幼児期を過ごしていました。
父親は恐らく、異人でしょうし、母親は、ことあるごとに紅を疎んで、ついに捨ててしまいます。
硬く硬く心を閉ざしていた紅を、禅の素直さが救ってくれました。
確かに禅も、おじいさんと２人暮らしをしていたという事は、ご両親は早くに亡くなったのかもしれませんが、彼は祖父の大いなる愛に支えられて幸せに暮らしてました。
大切なのは、二親そろっているかどうかではなく、見返りを求めない愛情をどれだけ注いでもらえるかという事だとしたら、母親と過ごした紅より、おじいさんと暮らした禅の方が何倍も何十倍も幸せでした。

禅のイメージは少しだけ（ホントに少しだけ）グランゾートの大地君がはいってます。（じゃあ、紅はラビか？）
幸せに育てられ、それを幸せと別に思ってなかった禅にとって、紅に出逢って、初めて自分はとても幸せだったんだと気付くんです。別にそれは紅を救うことによって、自分が優越感に浸るとかそんなのでは決してなくて、むしろ紅の不幸を解ってやれない痛みに、禅の心も悲鳴を上げる時がきます。
そういうところが、ちょっとだけ大地君なのです。
大地は地球で幸せに生きてました。
ラビは耳長族であることを必死で隠して、独りで生きてきました。
幸せそうに母親に当てて手紙を書く大地を、ラビはどんな気持ちで見てたのでしょうか。
ときたまからかうように大地に「マザコン坊や」と言っていたラビの本当の気持ちはどうだったのでしょうか。
そんな事を想っている時、出来た話なのです。
別にグランゾートでこの話を書きたかった訳でも、そっくり置き換えて名前をかえただけのグランゾート小説のつもりもないのですが（やはり大地と禅はまったく別の人間ですし、ラビと紅などもっと違います。）少しだけ、私の禅の中に大地君がいます。
なんか、グランゾートを知らない人には解らない話ですいません。

この後、２人は長い長い旅路の果てにやっと自分達の居場所を見つけます。
もちろんそれは雫達の居る所です。
でも、つかの間の平和な時間もなく、戦に巻き込まれてしまうでしょう。
まだ、そこら辺の部分はあまり考えていないのですが、秀が言っていたように先に死んでしまうのは、禅です。でも、紅もすぐ後を追うように亡くなります。
だから、禅と紅に関しては、さすがの当麻の記憶の中でも、さほど大きな位置は占めておりません。
禅と紅は２人だけの大切な旅の時間を共有しておりました。でも、秀は記憶バンクでもなんでもないので、そんなには思い出せないでしょうし、まあ、夜光は多少覚えていてくれるでしょうが……
なので、この２人を書くには、やはり番外編しかなかったのです。

そんなこんなで書いてしまいましたが、旅の途中の話なんかも書くとしたら、やはりまた番外編になってしまうでしょう。
だがしかし、皆様、読んで下さるでしょうか？　伸も当麻も一切関係ない、このような話を……
もし、興味がありましたら、お知らせ下さい。
別に伸がでなくても読んでやろうという太っ腹な貴方。
ご連絡お待ちしてます。
皆様のお言葉次第で、きっと彼らの今後が決まるでしょう。

そしてそして、次に控えておりますのは、今度こそ、誰も痛くない話です。
日常の彼らの楽しげな会話や、お遊びいっぱいの話になります。前世ネタもほとんど絡んできません。
もちろん雨なんか一滴も降りません。鮮やかなほどの五月晴れです。
だってゴールデンウィークの話なのです。なんたって黄金の日々。う〜ん、いいなあ。
ただ、ちょっとばかし当麻が暴走してしまいそうです。
今、なんとか思いとどまらせようと説得しているのですが（何を？）どうなる事やら。
まあ、たとえどうなろうと、伸の笑顔がありさえすれば……っね、当麻。

ではでは、遥かなる場所にたどり着くために。
ずっと一緒に歩き続けよう。

ＦＡＲＡＤＯＮ　記