悪しき者達 [後記]

お疲れさまです。如何でしたでしょうか。
とうとう始まってしまいました。趣味の部屋。
もう、完全オリジナルといって構わないほどの、原作の欠片もない、暗黒聖闘士の話です。

なんというか、こういう親のいない子供達が、一人っきりで寂れた街の片隅で、ぼろ雑巾ように生きているっていうシチュエーションが好きです。(いえ、好きっていうか・・・)
ストリートキッドとかにも憧れてました。(いや、憧れって……・)

今回は、そんな私の趣味をおもいっきり反映して書いた作品です。
本当は最後に聖闘士やデスクイーン島の会話でもいれて、とりあえず聖闘士小説にしようかなとも思ったのですが、(実際最初の予定ではそうでした)そうすると、すぐデスクイーン島へ行かなきゃいけなくなり、亜門と朱雀の2人だけの街での生活はもう書けない・・・と思ったとたん、私の手は後半ラスト部分をごっそり削除しておりました。
いえ、もう少し、この2人の時間を増やしてやりたかっただけです。
ので、今しばらくはこの2人、デスクイーン島へは行きません。(おいおい)

この2人の話を書くのはスリリングで楽しいです。
いきなり、私には珍しく、すんなりキスシーンなんかも書いてしまいましたし(爆)。
あ、こういうのが苦手な人はごめんなさいです。
今後も、それほどエロい場面を書く気はありませんが、他のC翼なんかの作品に比べたら、このての場面は多くなるかも知れません。<(_ _)>
といっても対象は、ほとんどこの2人。ドラゴン兄弟や疾風は、そういうとこには関わらないかな・・・あ、でも朱雀が珠龍あたりにちょっかいだす可能性はあるかも。
まあ、今回の話は2人の出逢いの話とかいいながら、別名、亜門の一目惚れ話だし(笑)。
でも、素直じゃないからこの2人には、好きだの惚れたのの会話はございません。恐らく。
言葉にしない分、たまに行動だけが突っ走ったり、誤解が誤解を生んで、風雲急を告げるってな感じでしょうか。(全然違うって)

自覚が無いのも確かなんですが、亜門は今まで、人に愛された事がなかったものですから、愛し方を知らないんです。
朱雀も同じく。行為そのものは知ってても、朱雀にとって、それは決して愛し合う者達のものではありませんでした。
心にあるのは、嫌悪感と、相手への憎悪。蔑む気持ち。
他人の腕の中で安らいだ気持ちになった事など、一切なかったですし。
逆に、どんな仕草をすれば、相手がドキッとするか、とか、どんな視線を向ければ、あいてが欲情するかとかは、嫌っていうほどわかってます。だから人間のそういう性欲的な部分を心底軽蔑している部分もあるのかな。
自分の顔が綺麗だっていうことも、ある意味、それは朱雀の武器ではありますが、それで得したなんて思ってないですし、反対に自分の顔なんか大嫌いです。
世の中すべてを憎んで、それが朱雀の生きる力になってます。
何が何でも生き抜いてやるっていう執念だけで考えれば、朱雀が一番生きるということに前向きなのかも。

それに比べて亜門は、かなり冷めてます。
母を殺してしまった時点で、彼の人生は終わってました。
死ぬ必要もないから生きてみるかって、そんな程度でしか、自分の生を意識していませんでした。
誰かに殺されるのも癪なので、家を飛び出し、逃げてはいますが、何処かに行って何かをしようなんて思った事もありませんでした。
それが、朱雀に逢って、朱雀の真っ直ぐな眼をみて、亜門のそんな心が根底から覆されます。
他人に興味を示すことなどなかった亜門が、朱雀の名前を呼びたいと感じ、朱雀を救いたいと思い、我が身の危険をかえりみず、飛び出す。
そして、沸き上がってくる欲望。強くなりたい。
これが烈火や水凪なら、大切な人を護るために強くなるんだ。なんて言えますが、亜門は、自分が何故強くなりたいと願うようになったのかさえ自覚してません。

護られた事のない人間は、護るという事を理解できません。
信じてもらえなかった人間は、人を信じる事ができません。
暖かな手の温もりを知らない人間は、どうやって人を暖めてあげればいいのかわかりません。
だから、彼らは相手を傷つけることで、お互いの存在を確認するしかない。
彼らは愛を与えて貰えなかった赤ん坊なのです。

私は、正義の味方をあまり好きではありません。
って、こんな言い方すると、また喧嘩売ってるって思われそうですが、昔っから、何故かヒーローに憧れた事はありませんでした。
全員が全員嫌だったわけではないですし、主人公でも、好きなタイプはいます。(遼とか大地君は大好きですし。)
私が嫌悪感を覚えるのは、自分は正しいんだって思いこんでる正義の味方。
「鼓動」の後記でも書きましたが、許される殺人をおかしているのに、それに疑問をもたない奴。

女神の為にって大義名分振りかざして、やってることは人殺しだろう。って、昔読んだ同人誌の中である人が言ってましたが、私は激しくその言葉に共感しました。
暗黒聖闘士達が、アテナから見放されたのは、力を自分の欲望の為に使おうとしたから。
別にいいじゃないですか。誰だって自分が一番可愛いと思ってて。
自分がまず幸せでなければ他人を幸せになんかできないんだから。
自分の心に忠実で何がいけないんだ。
願うだけじゃ腹はふくれない。
結局自分は自分。他人は他人。誰も本当の意味で他人を理解することも救うことも出来はしないんです。
アテナには、永遠に朱雀の苦しみは理解できないでしょう。
あんなふうにしか生きる術をもたなかった朱雀の苦しみは、朱雀にしかわからないんです。
ズタズタに傷ついた人間を救えるのは、同じようにズタズタに傷ついた人間にしか出来ない。

そんな私の闇の心ばかりを集めて、この聖衣の部屋は存在します。
だから、普通の聖闘士話を期待している人は、ちょっと期待はずれになる可能性があります。
しかも暗黒中心ということは、青銅聖闘士は敵になります。(まあ、暗黒が関わらない時の青銅話の場合は関係ないですが・・・)
星矢達が親友の為になんて言って戦っているのをみると、どうしたって反発したくなるだろうし。
また、彼らには決して与えられなかったアテナの愛を青銅達は一身に受けています。
そういう青銅達が羨ましくて、そして、誰よりも憎らしい。
暖かな友情ごっこなんか、彼らの間には存在しませんが、それ以上に深い気持ちがお互いの中にあります。
素直になれない分、もしかしたら青銅達よりもお互いを必要としているのかもしれないし。

色々と語ってしまいましたが、トルーパー達でかなり優しさを全面に押し出した作品を書いている反動で、たまにはそんな話も書きたくなる時があるんです。
とはいえ、最終的には、私自身が暗黒達を救いたいって思ってますんで、ただダークなだけの作品にはならないと思いますが。
逆に読んでてじれったくなってきたりして。お前、好きなら好きって素直になれよ。←誰に言ってる?
まあ、なんだかんだ言っても、結局は娯楽作品なんで、楽しんで読んでください。
そして、よければ感想ください。

暗闇の中、手探りで歩いている彼ら。
どうか、ほんの僅かでもいいから、彼らのことも愛してあげてください。

FARADON 記  

 

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